8月22日 名医とつながる!たけしの家庭の医学 全身の老化を止める科 テロメア

老化は、シミ・シワなどの外見のことだけではないです。

脳や足腰など、人が生きていくうえで大切な部分も老化が進み、健康寿命を短くしていってしまいます。

 

全身の老化を止めるためには、何に気をつけたらいい?

老化に関する最新研究結果が続々と発表され、

今回の重要ワード:身体の中の靴ひもにつながります。

 

私たちが身体の中にもっている靴ひもに全身の老化を止め、寿命を延ばす力があると最新の研究でわかったのです。

はたして、身体の中の靴ひもとは何でしょうか?

いまから8年前にその研究をした人にノーベル医学生理学賞が与えられました。

受賞者は、アメリカの分子生物学者のエリザベス・ブラックバーン博士で、研究成果を記した本には靴ひものイラストがのっています。

 

番組では、その身体の中の靴ひもの顕微鏡画像をうつしましたが、それは若い健康な人の肺の細胞をとらえたもので、その画像をさらに拡大します。すると青く光る細長い物体が見えます。これが、寿命を左右する身体の中の靴ひもなのです。

 

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2本の靴ひものようなものが対になって並んでいます。

 

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 若い人には、このテロメアがしっかりあるのですが、年を重ねるとかなり短くなっています。

テロメアが短くなることとさまざまな病は関係があると世界中の研究者から報告されています。

 

松尾恵太郎先生(愛知県がんセンター研究所 遺伝子医療研究部 部長)は、テロメアが短いと、長い人よりがんになるリスクが3~4倍高いと指摘されています。ここ10~15年くらいの間に実際に人でテロメアの長さを測定して、短いか長いかでがんのなりやすさがちがうという研究が出てきたようです。

 

横手幸太郎先生(日本動脈硬化学会 理事 千葉大学大学院 教授)は、動脈硬化が進んでいる人、あるいは動脈硬化の結果死亡してしまう人は、テロメアが短いという報告が相次いでされていると言われました。

テロメアが短くなることで動脈硬化が進みやすくなることもあるし、動脈硬化が進むことでテロメアが短くなることもあるようです。

動脈硬化心筋梗塞脳梗塞の原因となる

 

遠藤英俊先生(日本認知症学会 理事 国立長寿医療研究センター)は、テロメアが短いと脳機能が低下する海馬が委縮しているという報告が出てきているので、テロメアの長さを測ることが認知症のなりやすさとか認知機能の低下と関係が深いと言われました。

テロメアを長く保てば、脳の萎縮をストップして物忘れの予防の可能性もあります。

 

石川冬木先生(京都大学 生命科学研究科 教授)はテロメアを25年間研究されています。テロメア細胞分裂が起こることで短くなるのです。そして、テロメアはこれ以上細胞分裂が出来ないほど短くなったら、細胞分裂をやめるように細胞に命令を出して、細胞分裂が止まります。その結果、新しい細胞が作られず、古い細胞が生き残るので老化が進むのです。

 

テロメアの長さには個人差がありますが、長さの差はなぜ生まれるのでしょうか?

物事のとらえ方がネガティブなほうが、テロメアがより早く短くなるという研究が報告されているようです。ストレステロメアを短くするスピードを速める可能性があるのです。

危険なネガティブ思考とは、物事が起きていないのに悪い未来を先読みしてしまう、悲観的な考え方をすることです。悲観的な考えを強く持つ人は、ふつうの人よりも長期にわたってストレスを感じてしまいます。それがテロメアの長さに悪影響を及ぼしているのです。

 

テロメアを長く保つにはどうすればいいのでしょうか?

番組スタッフはテロメアに関して世界をリードする研究をしているアメリカのカルフォルニア大学サンフランシスコ校を訪ねて、ノーベル賞受賞のブラックバーン博士と共同で研究を行ったエリッサ・エペル教授に会いました。

 

最近の先生たちの研究では、日々の生活において「あること」をするとテロメアが短くなるスピードがゆるめられるという結果が出たそうです。

それがテロメアを長く保つことができる証明となったのです。

あること?気になりますね。

それは「マインドフルネス」ということを行うことなのです。

マインドフルネスによって、テロメアをのばす たんぱく質が分泌すると期待されています。

 

では、マインドフルネスとは何なのでしょうか?

 その研究を行っているヘレン・ブラレツキー博士(カルフォルニア大学 ロサンゼルス校 精神医学科 教授)というテロメアの長さをコントロール出来るか探る研究の第一人者を訪ねました。

ブラレツキー博士はマインドフルネスとは何か?の質問に「簡単にいうと自分の呼吸を聞くことです」と答えられました。

 

マインドフルネスのやり方

1)背筋をまっすぐにして座ります

2)目を閉じます

3)手は楽な位置に置きます

4)普段通りに呼吸をする

5)呼吸の音を聞く

呼吸に意識を集中します。いま吸っている、いま吐いている・・など。

雑念が浮かんでもそれを受け入れ、再び自分の呼吸に意識を集中します)

6) 3分間行います

毎日、複数回することをおすすめされています。

 

ブラレツキー博士は、マインドフルネスをするとストレスが軽減されると指摘されています。ストレスが軽減されると、テロメアを守ってくれるということが分かってきたそうです。

ストレス=交感神経で、リラックス=副交感神経ですが、副交感神経を優位にする生活習慣は、ストレスを軽減させてテロメアにも良い影響を与え、老化予防に効果的だと思うとブラレツキー博士。